ネクロ1
剣を構えるセインの瞳には言い知れぬ怒りが渦を巻いている。
「……なるほど、確かにさっきの言葉は傲慢極まるものだったな……」
羅刹は変わらない口調でそう言った。
「しかし、満足に生きることもできずに死んでいった者達を目の前に…彼らを救う能力がありながら……黙って暮らしてなどいけるものかっ!」
裂帛の気合いと共にセインの頭を突きにかかる。それを先程と同様に弾くセイン。しかし、弾かれるのを予測していた羅刹はテーブルに置いておいた鞘に手を伸ばす。そして、左手で持った鞘でセインの胴を薙ぎにかかる。
かわせないと判断したセインは一歩踏み込んだ。
鎧の上から鈍重な衝撃が走る。
その痛みに耐えながら密着した状態で羅刹の胴に左手を当てる。
手から小さな爆発が起こり、すぐさまセインは羅刹から跳び退る。
羅刹は口から血を吐き出しながら、
「……騎士だと思っていたが……まさか魔法騎士だったとはな……」
苦しそうに呟く。
羅刹の黒い鎧は小さな爆発とはいえ、接近していた為にずたずたにされていた。
二人の高い次元の戦闘にただ指を咥えて見ていた街の自衛団の数人が、決死の覚悟で羅刹とセインの間に割って入る。
しかし、セインは、
「邪魔だっ!どけっ!」
その左手が灼熱の炎に包まれる。
「いかんっ!避けろっ!」
羅刹の叫びと共にセインの左手から深紅の矢が放たれた。
深紅の業火は二人の間に割って入った兵士を見る間に飲み込んだ。
炎は兵士達を骨の髄まで焼き尽くそうとする。
そこに一陣の風が吹いた。羅刹が放った真空波だ。その風が炎の壁を掻き消し始める。