ロンサー
その直後、爆音が響いた。
「……一体何が……」
起こったの、と言いかけて、月夜を庇った兵士の体が焼け焦げていることに気付いた。
月夜から少し離れた地点にセインが降り立っていた。
死骸の約半数はノアールの村の旱魃対策にと残してきた部下達だ。セインが危機的な状況に陥っていることを伝達呪法で知った部下達は急遽出撃したのだ。
沈痛な表情で変わり果てた部下達を見下ろすセイン。
しかし、その一つが僅かながら動いた。
「おい、しっかりしろっ!」
その顔は、まだセインの隊に入隊して間もない兵のものだった。
「……た、隊長……も、申し訳……ございません……」
彼は荒い息を吐きながら、セインの顔を見上げた。
仰向けになっている彼の体を起こすが、
「……くっ!」
セインは唇をかんだ。駄目だ。内臓がやられている。自分の不得手な回復呪法でどうにかなる傷ではない。
(……俺が奴の策を見破れなかったばかりに……!)
自分が羅刹の作戦を見抜いていればこの犠牲はなかったはずだ。
「……すまない。俺が不甲斐ないばかりに……!」
彼の体を抱きしめながら謝罪の言葉を掛ける。
「…………」
しかし、彼はセインに答える事無く大量に血を吐き出した。セインの黒い鎧が深紅に染まる。彼はそれきり動かなくなった。
セインは立ち上がり、剣を抜く。
「……今度お前が生まれ変わるまでには……必ず平和な世にしてみせるっ!」
その眼には強い決意が宿っている。
「くっ!相手は一人だっ!怯むなっ!」