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今はまだ致命傷を負ってはいないが、羅刹は最初の呪法でダメージを負っただけ。あれ以降は、全く無傷だ。このままではやられるのを待つだけだ。
セインは羅刹がいる位置を高速で切り裂き、真空波を発生させる。
羅刹はそれを横に跳び避ける。
その隙に呪法を発動させようとするセインだったが、横に跳びながら羅刹もまた真空波をその剣から放つ。凶悪な風の刃がセインを切り刻もうとする。
セインは呪法発動させ、結界を展開。しかし、攻撃呪法は無論発動出来ない。
結界を張ったセインに肉薄する羅刹。
(……まずい……このままでは確実に俺が負ける!)
羅刹の剣撃がセインの結界を破壊するのと同時にセインも呪法を発動させる。
しかし、羅刹はそれには構わずにセインの首を切り落とそうと足を踏み出す。一秒に満たない短時間では強力な呪法は発動出来ない。肋骨が数本粉砕されるかもしれないが、早急に月夜の元に向かわなければいけないのだ。
その刃がセインの首に放たれようとするまさにその時。
セインの手から閃光が走る。
その眩しさに視界を、一瞬鞘を持つ左手で遮る羅刹。
その直後、セインの首が刃で斬り付けられた。
しかし、手応えが無い。すっ、と剣が通り抜ける。
そしてセインの姿が蜃気楼のように揺らめきながら消えていく。
「……くっ!幻影呪法か……!」
この場にはいないが、まだ付近にセインの気配がある。
セインを追って、止めを刺すのが最良なのだが、月夜の命が危ない今ではそんな事は言っていられない。羅刹はすぐさま月夜の気配を追って、痛む体に鞭打って店を飛び出た。