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「おいっ!だらけるなっ!」
国語担当の池田が勢いよく教卓を拳で叩き突ける。
その音に体をビクンッとさせた小心者は…晃を含めて約五名。
晃は自分でも自身が小心者であることを自覚していた。
「全く、こんな事じゃ沖縄に行った時にはどうなるんだか」
ここで池田が沖縄の名を出したのには訳がある。
実はこの戸山高校ではつい最近まで修学旅行がなかった。
そして二年前、念願かなって修学旅行が実地されたのだが、その前に生徒会であるアンケートを取ったのだ。
『修学旅行にはどこに行きたいですか?』と。
アンケートが出された時期が真冬の十二月ということもあったのかもしれない。
京都や北海道というこれまたメジャーな意見と決選投票の結果…
旅行先は沖縄に決まったのだ。
(なんで夏に沖縄行くんだよっ!)
冬に行ってこそ沖縄の良さを体感できるだろうに……
受験の時期との兼ね合いから二年生の夏休み前にこの修学旅行は行われるのだ。
更にこの修学旅行はフェリーに乗って沖縄に行く。
飛行機で行っても趣きが味わえない、飛行機ではスケジュールが組みにくい、という二点の理由から船での修学旅行になった。空港は山に建設されている為、年に何回か凄まじい霧が発生する。前年は飛行機で沖縄に行ったのだが、離陸前に霧が発生し、霧が消えるまで二日も立ち往生してしまった。その為、今年からフェリーで、ということになったのだ。
(そんなのはどうでもいいんだけどね)
晃はハンカチで汗を拭きながらも黒板の文字をのろのろと写し始めた。