ネロマン4
「今のうちに『死霊使い』をっ!」
血を吐き出しながら、叫ぶラファエル。
「……おぉぉぉぉぉ!」
もう一人の暗殺者は叫びながら突進し始めた。
自分達の使命は『死霊使い』の暗殺。それは味方を犠牲にしてでも成し遂げなければならない使命だ。さもなくば、またあの村のような悲劇が起こる。
「くっ!どけえっ!」
裂帛の気合いと共に蹴りを背後で両腕を押さえ付けているラファエルの膝に打ち込む。鈍い音と共に、ほんの僅かではあるが、ラファエルの拘束が緩む。
拘束しているラファエルの腰から左手で短刀を抜いて彼の腹に突き立てる。
男は凄まじい吐血をし、羅刹の後頭部に血がかかる。
しかし、それでも男の拘束はとけないっ!
もう一人の暗殺者は羅刹の方には行かずに、月夜目掛けて走っている。
走りながら剣を右手に持ち、それを月夜に投げ付けようとする。
「月夜ぉぉぉぉぉっ!」
羅刹の叫びも空しく、剣がその手から離れ、月夜の顔を捉えようとした正にその時!
剣が音をたてて粉々に砕け散った。
「なっ!」
暗殺者が驚きの叫びと共に背後を振り返った時には、
「消えろっ!」
アシュタルの左手から放たれた眩い閃光に飲み込まれ、跡形も無く消えていた。
月夜はへなへなとその場にへたり込んでしまったが、すぐに、
「羅刹さんっ!羅刹さんっ!」
まだ敵はもう一人いる。
しかし、羅刹は動こうとしない。
「大丈夫か、月夜」
アシュタルがゆっくりと月夜に歩み寄って来る。
「アシュタルッ!羅刹さんをっ!」
しかし、アシュタルは月夜を抱きかかえながら、
「心配するな」
とだけ呟いた。